妊娠すると免疫力の低下やホルモンバランスが乱れるため、おりものの量も増えやすく、細菌などが感染しやすくなってしまいます。細菌が繁殖し、妊娠中に細菌性膣炎になってしまったら、胎児に影響はあるのか。早産などのリスクについてご紹介していきます。
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細菌性膣炎について
細菌性膣炎とは?
細菌性膣炎とは、特定の微生物が原因のクラミジアやトリコモナスなどの性感染症とは異なり、体内に常在している普段は悪さをする事のないレンサ球菌や大腸菌などの常在菌が、異常繁殖する事によって起こる膣の炎症の事を言います。
細菌性膣炎になる原因は?
「乳酸桿菌(にゅうさんかんきん)」という善玉菌が膣内をやや酸性に保ち、細菌の侵入や繁殖を防いでくれています。しかし自浄作用の働きが低下する事によって、レンサ球菌や大腸菌が異常繁殖し、細菌性膣炎になります。自浄作用が低下するには以下の原因が考えられます。
・膣の洗いすぎ
・体調不良
・ストレス
・体力・免疫力の低下
・抗生物質の服用
妊婦が細菌性膣炎になるとどうなる?
妊婦さんが細菌性膣炎になった場合、以下のような事が起こる可能性があります。
早産の原因に繋がる
細菌性膣炎になっている場合、細菌が頸管を通って子宮頸管炎になり、さらに炎症が広がると『絨毛膜羊膜炎(じゅうもうまくようまくえん)』になる恐れがあります。
絨毛膜羊膜炎になると、赤ちゃんを包んでいる絨毛膜と羊膜に炎症が起き、早産や前期破水のリスクが高まります。
しかし、妊娠20週までに細菌性膣炎を完治すると早産を予防できる可能性が高くなるので、しっかりと妊婦検診を受けて、おりものに異常があった場合にはきちんと治療をする事が大切です。
細菌性膣炎で胎児への影響はある?
分娩時に赤ちゃんに産道感染してしまうと、新生児が肺炎や髄膜炎(ずいまくえん)などの原因に繋がってしまいます。
産道感染しないためには、自覚症状がなくても定期的な検査が大切になっています。
妊婦の細菌性膣炎の治療法は?
細菌性膣炎と診断された場合、妊婦の時には膣錠が処方されます。膣内に直接挿入するタイプで、メトロニダゾール膣錠やクロラムフェニコール膣錠などは妊婦に影響が少ないとされているため、それらを使い治療します。
きちんと治療をすれば1~2週間ほどで改善しますが、免疫力の低下や体調不良などがあれば、少し長引きやすくなります。妊娠中は抵抗力が低下しがちなため、再発もしやすくなっているので注意が必要です。
妊娠中に細菌性膣炎にならないための対策とは?
妊娠中はとくに免疫力の低下から細菌性膣炎を起こしやすくなっています。以下の事に注意して細菌性膣炎対策をしましょう。
・ストレスを溜め込まない
・睡眠はしっかりとする
・規則正しい生活を
・膣は洗いすぎない
・デリケートゾーン専用石鹸を使う
・おりものシートはこまめに変える
妊婦検診はきちんと受けよう
妊娠中に細菌感染してしまうと、早産や新生児に影響が出るなどのリスクが伴います。細菌性膣炎は自覚症状が出ない場合もあり、その場合自分で気付くことが難しくなっています。
定期的な妊婦検診をきちんと受けることで、細菌感染に気付くことができ、早期に治療を始める事ができます。そのためにも妊婦検診は必ず受けるようにしましょう。