子宮内膜炎という病気を知っていますか?女性特有の婦人科系疾患で、放置していると不妊症に繋がる恐れもあります。ここでは、子宮内膜炎の症状と原因、妊娠への影響、体調の変化などの気になる点を解説していきます。
contents
子宮内膜炎とは?
子宮内膜炎とは、子宮の内側をおおっている粘膜に何らかの理由で、細菌が感染してしまい、炎症が引き起こされてしまっている事を言います。
子宮内膜症との違い
『子宮内膜症』と一緒のように思われがちですが、子宮内膜症は子宮以外の卵管や卵巣などに、子宮内膜のような組織ができてしまう病気です。子宮内膜炎は細菌による感染で引き起こされる病気なので、2つは全く異なります。
子宮内膜炎になる原因とは?
子宮内膜炎は細菌感染する事により起こります。原因菌となる細菌は【淋菌・レンサ球菌・ブドウ球菌・大腸菌・結核菌】などの化膿菌が挙げられます。主に外から細菌が侵入する事によって引き起こされますが、結核菌の場合は血液から感染してしまいます。
子宮内膜炎に感染しやすい人とは?
子宮内膜炎は内膜に細菌が感染する事により発症するので、一般的に生理で内膜が剥奪して新しいものに変わるため、子宮内膜炎には感染しにくくなっています。では、感染しやすくなる人はどのような人でしょうか。
●流産・中絶・出産した人
流産や中絶をした人は、生理による内膜の剥奪がなく、細菌に感染しやすくなってしまいます。出産後には抵抗力も弱まり、子宮頸管も開いているので感染する確率が高くなってしまいます。また、出産や人工的中絶、流産時の処置などによって子宮の中に傷ができ、そこから感染してしまう事もあります。
●子宮の手術や検査をした人
子宮の手術や検査をした際に、子宮内に傷がついたりする事で感染してしまう事があります。
●タンポンを長時間使用する人
タンポンを長時間使用する事で、膣内に細菌が感染しやすくなってしまいます。タンポンを使用する際は、こまめに買えるようにしましょう。
●コンドームを着用せずに性行為を行う人
性感染症に感染している人と行為をする事によって感染してしまいます。コンドームの着用をする事で防ぐ事が出来ます。
●免疫力が低下している人
体調不良や寝不足などが原因で免疫力が低下していると、感染しやすくなってしまいます。しっかりと睡眠をとり、体調を整えるようにしましょう。
子宮内膜炎の症状とは?
子宮内膜炎は、大きく分けると『急性子宮内膜炎』『慢性子宮内膜炎』『老人性子宮内膜炎』の3つの種類に分けられます。それぞれどんな症状が現れるのかを見ていきましょう。
急性子宮内膜炎の症状とは?
急性子宮内膜は子宮内膜の表面部分に一時的に起こる炎症の事を言います。生理により子宮内膜が剥がれ落ちる事で、自然に治癒する事もあります。
【主な症状】
- 下腹部痛
- 不正出血
- 白~黄色や黄緑の膿性のおりもの
- おりものの増加
- 発熱や下痢
慢性子宮内膜炎の症状とは?
慢性子宮内膜炎は子宮内膜の深い部分(奥の方)で炎症が起きていて、生理で子宮内膜が剥がれ落ちる場所に届かないため、外に排出されずに炎症が慢性化してしまいます。自覚症状が少ない事も多く、気が付かずに放置してしまう場合があります。
【主な症状】
- 生理の際の経血量の減少
- 無月経になる
- 自覚症状がない
老人性子宮内膜炎の症状とは?
加齢により女性ホルモンの分泌量が減少し、子宮内の自浄作用(うるおいや清潔な状態を保ち細菌の侵入を防ぐはたらき)が低下してしまい、細菌が侵入しやすくなってしまいます。また、閉経を迎える事で、生理によって毎月剥がされていた子宮内膜が、剥奪・再生しなくなるため、細菌が感染しやすくなってしまいます。このような加齢による子宮の炎症の事を『老人性子宮内膜炎』と言います。
【主な症状】
- 膿性のおりもの
- 下腹部痛
子宮内膜炎の妊娠への影響は?
子宮内膜炎は生理により子宮内膜が剥がれ落ちる事で自然に治る事もありますが、慢性化すると不妊症の影響があるとされています。
慢性子宮内膜炎の方は気付かない間に慢性化してしまっている事もありますので、不妊症で悩んでいる場合は、一度検査してみると良いかもしれません。
子宮内膜炎の治療法とは?
子宮内膜炎と診断された場合の治療はどのような事を行うのでしょうか。
抗生物質の投与
もっとも一般的に行われるのは、抗生物質の投与です。原因菌などを特定して、その菌のはたらきや増殖を抑える効果のある抗生物質が使用されます。
手術が必要な場合も
子宮内膜炎の症状が進行し、ひどくなると手術が必要になる場合もあります。手術とまではいかなくても、入院して抗生物質の入った点滴を受けるなどをしなくてはならない場合もあります。
重症化する前に、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
治療期間
急性子宮内膜炎の場合は早ければ数日~1週間程度で完治することができますが、慢性子宮内膜炎になると、長期的な治療や検査が必要になってきます。老人性子宮内膜炎で、膿が出来てしまった場合などは、膿を取り除く処置をしなくてはならない場合もあり、そうなると治療が長引きます。
子宮内膜炎の予防法はある?
子宮内膜炎を予防するには、普段から少し心掛けるだけで予防に繋がります。
デリケートゾーンを清潔にする
下着やおりものシート、ナプキンはこまめに取り換え、タンポンは長時間使用しないなど、デリケートゾーンを清潔にする事で細菌を感染しにくくしましょう。
しかし、清潔にしようと、デリケートゾーンの洗いすぎには気をつけて下さい。洗いすぎる事で膣の自浄作用が低下し、細菌が侵入しやすくなってしまいます。また、市販の石鹸やボディーソープは刺激が強いため、デリケートゾーン専用のものを使うようにすると尚良いです。
性行為の際はコンドームを着用する
性感染症に感染してしまう事で、子宮内膜炎を発症してしまう事があります。性感染症にかからないためにも、性行為の際はコンドームを着用するようにしましょう。性感染症に感染している恐れのある人は、検査を受けるようにしましょう。
デリケートゾーンの通気性を良くする
デリケートゾーンなどの蒸れる場所は細菌が繁殖しやすくなってしまいます。スカートや綿の下着をつけるなどして通気性を良くする事で、細菌の感染を防ぎましょう。
体調を整えて免疫力を高める
体調が悪かったり、睡眠不足などで免疫力が低下していると、細菌感染しやすくなります。バランスのとれた食事と、しっかりとした睡眠、適度な運動などを心掛けて、細菌感染しにくい健康なカラダづくりを目指しましょう。
最後に
子宮内膜炎は急性の場合は自然治癒する事もありますが、慢性化すると不妊症にも繋がる恐れのあるため、早めの処置が大切です。
自覚症状が乏しい場合には気付くのは困難ですが、少しでも異変が現れた場合には、ためらわずに医療機関を受診するようにしましょう。少しでも早めに治療を始める事で、炎症が広がるのを防ぎ、治療期間も少しでも短くすることが出来ます。
不妊で悩んでいて、生理の血も少なかったり、来なかったりする場合には、子宮内膜炎の検査を受けてみるのも良いかもしれません。