生理不順で悩んでいる女性は多くいます。
生理不順でも生理が来ているから排卵していると思うのは危険!生理不順は無排卵月経のサインかもしれません。
・生理周期が24日以内
・生理周期が40日以上
・生理日数が2日以内や8日以上
・出血量が異常に多い
・ダラダラと出血が続く
などに当てはまる方は無排卵月経の可能性が高くなります。
無排卵月経の場合、生理が来ていても妊娠する事ができません。
そんな無排卵月経の時は、おりものの状態は変化するのでしょうか?
この記事では無排卵月経について詳しくご説明していきます。
contents
正常な生理と排卵の仕組み
生理は妊娠を望む望まないに関係なく、健康な女性なら誰もが毎月妊娠するための準備として起こります。
生理にはサイクルがあり、卵胞期→排卵期→黄体期→月経期という流れがあります。
卵胞期
脳から指令ホルモンが分泌される事により卵巣が刺激されます。
そうすると卵巣内に数千個とある卵胞の中の数個が目覚め、その中の一つが成長をスタートさせます。その卵胞が成長すると成熟卵胞になります。
成熟した卵胞はエストロゲン(卵胞ホルモン)を分泌します。
エストロゲンが分泌されると子宮内膜を厚くして受精卵が育つためのふかふかのベッドを作ります。
排卵期〜黄体期
成熟卵胞の中から卵子が排出されると(排卵)、卵胞は黄体という組織に変化し、プロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌します。
プロゲステロンの作用によって受精卵が着床しやすいように準備が整えられます。
この時、排卵で出された卵子と精子が受精し、受精卵が無事子宮内膜に着床すると妊娠が成立します。
月経期
受精・着床しなかった場合には、エストロゲンの作用で厚くした子宮内膜のベッドは不要になります。そのため壁から剥がれ落ちて血液として排出されます。これが生理の仕組みです。
無排卵月経とは?正常な排卵とどう違う?
無排卵月経とは、生理と同じような出血はあるのにもかかわらず、排卵していない状態の事を指します。
正常な生理・排卵は前述したようにエストロゲンの作用によって子宮内膜の壁が厚くなります。排卵を起こすのに黄体形成ホルモンというホルモンが必要とされています。
しかしある事が原因で黄体形成ホルモンが分泌されずに排卵を起こせない場合があります。
排卵が起こらなかったとしても、エストロゲンの作用によって厚くなった子宮内膜の壁は剥がれ落ちてくるため出血が起こります。
これは生理とは違いますが出血しているため「無排卵性出血」と言います。生理のように出血するため無排卵月経とは気が付かない人がほとんどです。
無排卵月経の時はどんな症状?
無排卵月経の時は主に生理不順が挙げられます。具体的な症状は下記のようなものになります。
生理周期が不安定になる
無排卵月経の主な症状として生理周期の乱れが挙げられます。
正常な生理周期は25日~38日の間です。無排卵月経の人は、生理周期が24日以内であったり1ヶ月の内に何度も来る、逆に生理周期が40日以上あいたり何か月も来ないなどの症状があります。
生理周期は生理が始まった日(出血した日)から次の生理(出血)が始まる前の日までの期間を言います。
出血量が多すぎる・または少なすぎる
生理の時の出血量が、何度も頻繁にナプキンを変える必要があるほどの異常な量が出たりします。また逆に少しの量しか出血がないという症状もあります。
生理の期間が長くダラダラと出血がある
生理の時の出血は通常3日~8日程度です。出血が少なくても10日以上だらだらと続く場合は無排卵月経の可能性が高くなります。
無排卵月経の原因とは?
無排卵月経が起こるのは、脳にある視床下部(ししょうかぶ)と呼ばれる部分が乱れる事が主な原因として考えられています。
生理は子宮のみの問題に感じますが、実は脳も関係しています。
正常な状態では脳から卵巣に女性ホルモンを分泌させるように命令が出されます。それにより女性ホルモンが分泌され、卵胞が発達して排卵をします。
その命令を出す中心となっているのが視床下部という脳の部分です。
しかし視床下部が乱れてしまうと正常に命令を出す事が出来なくなり、生理不順や無排卵を引き起こしてしまうようになります。
視床下部が乱れてしまう原因
ホルモンをコントロールしている視床下部は非常にデリケートになっているため、精神面や肉体面の少しの事でも影響してしまいます。下記のような事が挙げられます。
・無理なダイエット
無理なダイエットや食事制限などをする事で無排卵月経になってしまう人が最近多くなっているようです。
無理なダイエットはストレスもたまりやすく、脳にダメージがいきやすいです。
また、食事制限をしていると脳が正常に活動するだけのエネルギーが足らなくなるため、無排卵月経を招きやすくなってしまいます。
・強いストレスや過労
視床下部は繊細なため、強いストレスがかかったり疲労が溜まると乱れてしまいます。
特に緊張しやすい人や仕事場でストレスを良く感じるという人は、視床下部が乱れる可能性があるため注意するようにしましょう。
・引っ越しなどの生活環境の変化
引っ越しなどで今までの生活環境に変化があると、カラダはストレスを感じ、視床下部が乱れてしまう事もあります。
・精神的ショックを感じたとき
身近な人が死去してしまったり、失恋、失業などで精神的ショックを受けると視床下部に影響が出て乱れる原因になります。
卵巣のトラブルが原因の事も
視床下部が主な原因ですが、それ以外にも卵巣の病気などが原因の場合もあります。
卵巣が病気になっていると卵巣機能は低下してしまい、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが正常に分泌されなくなり、排卵に支障をきたします。
卵巣の病気は自分では気づかないケースも多いため定期的な検診を受ける事が大切です。
無排卵月経を自分でチェックする方法
おりものの変化を確認する
おりものは女性ホルモンの分泌と深い関わりがあります。
そのため、正常な時のおりものは生理周期によって変化していきます。
通常、月経後(生理後)の数日間はおりものは少なく、排卵期に向けてだんだんと増えていきます。
排卵期には最も量が多くなり透明でよく伸びるおりものになり、排卵を終えると次第に量も減っていき粘り気のある黄色いおりものへと変わります。
しかし無排卵月経の時のおりものは、増えたり減ったりという変化がほぼなく、常に量が多く粘り気のあるおりものになります。
基礎体温表をつける
無排卵月経かもと思った時は基礎体温を測ってみるようにしましょう。
とくに生理期間(出血している期間)が10日以上続いている時は無排卵月経の典型的な症状となります。
→基礎体温とは安静な状態の時の体温の事を言い、睡眠後の目覚めた時に測るのが良いとされています。
きちんと排卵のある生理がきている場合の基礎体温は、「低温期」と「高温期」の2相に分かれます。排卵後に高温期になり、人により個人差はありますが低温期とは0.3℃以上の変動があります。
高温期がなく、ずっと低温期が続く場合は排卵していない、つまり無排卵月経という事になります。
2~3か月程度基礎体温表をつけていても、低温期と高温期に分かれない場合は婦人科を受診するようにしましょう。
排卵検査薬を使う
排卵検査薬とは、排卵を起こす黄体形成ホルモン(LH)の尿中濃度を測り、排卵日を予測するものです。
市販で販売されていて、排卵検査薬を使うことで排卵時期をおおまかに予測する事が出来ます。
使い方も簡単で、スティック部分に尿をかけるか浸すかをして約15分ほど待つだけです。
しかし、排卵検査薬は実際に排卵がきていなくても、たまたま尿のLH濃度が高かったりしたときにも反応してしまう事もあるようです。
排卵検査薬のみに頼らずに、基礎体温表もつけるなどをしてチェックして下さいね。
無排卵月経の病院での検査方法は?
病院での検査方法は主に下記の2通りになります。
血液検査
生理周期などから排卵が起こったとみられる後に採血します。
通常ならばプロゲステロンが分泌されているため、プロゲステロンの量を測定します。
プロゲステロンの数値が低い場合、無排卵と診断されます。
超音波検査
超音波検査にはプローグと呼ばれる器具を膣内に入れて、卵巣・子宮の様子を確認します。子宮内膜の厚さを調べる事で排卵の有無の確認します。
また超音波検査の場合は子宮筋腫や多嚢胞性卵巣症候群などの病気も確認する事ができます。
無排卵月経の治療法はどんなものがある?
生理不順や無排卵月経と診断された場合、
症状の重さや妊娠希望の有無によって治療法は変わります。
低用量ピル
服用中は妊娠しなくなるのため、すぐに妊娠を希望しない人などに用いられます。
ピルを服用し、あえて排卵を止め卵巣を休ませる事で女性ホルモンの分泌リズムを人工的に作っていきます。
排卵誘発剤
排卵誘発剤は人工的に排卵を起こす薬で、すぐに妊娠を希望している人などに用いられます。
排卵誘発剤は飲み薬で処方されることが多く、正常な生理・排卵のリズムを取り戻す目的で使われます。
カウフマン療法
ホルモン剤で人工的に生理を起こさせます。
そのあとに急に補充をやめることによって、視床下部が刺激されて自力排卵へと導きます。
無排卵月経が起こりやすい思春期や閉経前で排卵誘発剤を使うほどでもない場合などに用いられます。
無排卵月経でも妊娠できる?
生理不順で無排卵月経でも妊娠できるの?と疑問に思う方も多いと思いますが、結論から言いますと無排卵月経のときは妊娠する事ができません。
排卵が起こっていないと、卵子が精子と受精する事ができないためです。
しかし無排卵月経であっても治療をすれば良くなる可能性が高いです。
排卵誘発剤を使うと排卵率はかなり上がるため、そのぶん妊娠確率も上がります。
生理不順の時は無排卵月経を疑って
生理周期が短い、生理の経血量が多い、生理が10日以上続くなどの症状が見られたら無排卵月経を疑いましょう。
ただの生理不順と放置していると不妊になってしまう恐れもあるため、注意が必要です。
妊娠を希望していて、生理不順が続いている場合は早めに婦人科を受診して検査をするようにしましょう。