「子宮膣部びらん」という言葉を知っていますか?月経がある女性の約7割の方が「子宮膣部びらん」になっていると言われています。
そこで今回は子宮膣部びらんの症状と原因、対処法などについて解説していきます。
contents
子宮膣部びらんとは?
『びらん』と言うのは『ただれている状態』を指す言葉で『子宮膣部びらん』とは子宮膣部がただれているように見える、または、子宮膣部がただれている状態の事を言います。
一般的な子宮膣部びらんは、子宮頚部の粘膜部分が子宮口よりも外側に出ていて、肉眼で見た時に赤くただれているように見えるので「偽びらん」と呼ぶこともあります。
この状態の場合は閉経前の女性に多く見られる状態で、生理的な変化のため、病的な事が原因ではありません。
子宮膣部びらんはどんな症状?
子宮膣部びらんになっていたとしても、自覚症状はほとんどない事が多いです。
しかし、びらん部分が大きくなるにつれて、おりものの量も多くなる人もいます。その時のおりものは黄色や白で粘り気があります。
また、性行為や排尿の際などの刺激が原因で不正出血をしやすくなる事もあります。
子宮膣部びらんになる原因は?
エストロゲンと呼ばれる女性ホルモンが原因で子宮膣部びらんができると考えられます。
月経が始まる時期になると、エストロゲン(女性ホルモン)が作用しだします。そうすると子宮膣部がふくらむようになってきて、子宮頚部の内側の上皮がめくれてきます。その状態になると肉眼ではただれているように見えるため「子宮膣部びらん」と呼ばれます。
このように子宮膣部びらんは病気というより、生理的な現象と言えます。閉経を迎えると子宮膣部びらんは徐々に見られなくなっていきます。
子宮膣部びらんの病院に行くタイミングは?
子宮膣部びらんを自身で判断するのは難しい事が多いです。以下のような症状が見られた場合には、子宮膣部びらんではなく、他の疾患の可能性も考えられるので、婦人科を受診するようにしましょう。
・おりものの量が多くなった
・おりものが粘り気のある黄色
・性行為の時に痛みがある
・生理ではないのに不正出血する
>>生理以外で出血…これって不正出血?原因と正しい対処法は?
子宮膣部びらんの治療法は?
子宮膣部びらんになっていたとしても、症状が強く出ていない場合には特に治療の必要がない事がほとんどです。ただし、子宮頸がんや膣炎・性感染症などになっている場合もあるので、定期的に検査を受けるようにしましょう。
治療としては、びらんがある事により膣炎などの炎症が起きているので、まずは「びらん」そのものを治療するのではなく、膣の洗浄をしたり、抗生物質が投与されたりします。それでも良くならない場合には、冷凍療法・レーザー療法・電気凝固法などで「びらん」そのものを治療します。
いずれも子宮膣部びらんの状態により異なるので、医師の指示で決めましょう。
子宮膣部びらんになると不妊症になる?
子宮膣部びらんは病気ではないので、不妊症になったり妊娠に影響が出たりなどの心配はありません。
しかし、子宮膣部びらんになる事によってびらん部分は細菌や外部刺激に弱くなっています。びらん部分が細菌感染すると、子宮頸管炎などに発展し、不妊症の原因に繋がる恐れがあるため、おりものの変化などがあった場合には、早めに婦人科を受診するようにしましょう。
>>子宮頸管炎になるとおりものも変化する?妊娠や新生児への影響とは?
最後に
子宮膣部びらんはほとんどの場合が病気ではない事が多いのですが、子宮頸がんの初期段階とよく似ているため、念のため検査を受けるようにしましょう。子宮頸がんは初期には自覚症状が乏しいため、子宮頚がん検診が早期発見に繋がります。定期的に検査を受けるようしましょう。
子宮膣部びらんは病気ではなく、子宮膣部の状態を表している言葉なので、もし「子宮膣部びらん」だと診断されても落ち着いて対処しましょう。通気性の良い下着をつけたり、デリケートゾーン専用石鹸を使って陰部を清潔にするなどをして、膣炎を起こさないようにしましょう。