子宮頸管炎は誰にでも起こる可能性のある炎症です。そんな身近な子宮頸管炎ですが、発症した際の、おりものの変化はどのようになるのでしょうか。また、妊娠への影響や、妊婦さんが発症すると、新生児も影響が出るのでしょうか。それらの疑問と、症状や原因について分かりやすく解説していきます。
contents
子宮頸管炎とは?
子宮頸管炎とは、子宮頸管の粘膜に炎症が起こる事を言います。子宮頸管炎の経験者は50%、つまり2人に1人はかかった事があると言われるほど、発症しやすい病気です。さらに、出産を経験した女性になると、60%以上が子宮頸管炎の経験者であると言われています。
子宮頸管炎を放置していると、感染がカラダの奥に広がっていき、子宮内膜炎や卵管炎、卵巣炎などを引き起こす可能性があるので、早めの治療が大切になっています。
子宮頸管炎になる原因とは?
子宮頸管炎になる原因として考えられるのは、次のような場合です。
⚫︎性感染症
→淋病やクラミジア、トリコモナスなどによって感染します。
⚫︎膣に存在している細菌に感染
→レンサ球菌、ブドウ球菌、大腸菌などの常在菌が膣炎を起こして感染する場合があります
⚫︎膣の損傷により感染
→分娩(出産)や中絶、膣内に器具を入れる検査などにより、膣内が傷付く事が原因で子宮頸管炎になる場合があります。
子宮頸管炎の症状とは?
子宮頸管炎になると、主に以下のような症状が挙げられますが、自覚症状がほとんど出ない場合もあるので注意が必要です。
●おりものの増加
●悪臭のある白~黄色っぽい膿性のおりもの
●不正出血
●下腹部痛や腰痛、性行為の際の痛み
子宮頸管炎は放置して症状が悪化してくると、子宮内膜炎・卵管炎・卵巣炎などを引き起こし、骨盤腹膜炎まで進行してしまう場合があるので、少しでも違和感を感じたら早めに医療機関を受診するようにしましょう。
子宮頸管炎になると妊娠への影響は?
子宮頸管炎になると妊娠の影響はあるのか、気になりますよね。子宮頸管炎は不妊症の原因に繋がる場合があるようです。不妊症の原因としてあげられる理由は以下の3つです。
子宮頸管炎が悪化する事によるもの
前述したように、子宮頸管炎は放置していると症状が悪化していき、卵管炎・卵巣炎と感染が広がっていきます。
卵管に炎症が起きると、卵管が狭くなり精子と卵子が上手に出会うのが難しくなり、不妊に繋がってしまう恐れがあります。
子宮頸管粘膜の量が減る事によるもの
子宮頸管にある粘膜は精子が子宮まで通過する際の手助けになっています。
しかし、子宮頸管が炎症を起こすことで、子宮頸管粘膜がしっかりと分泌されなくなり、精子がスムーズに通れなくなってしまいます。それにより、不妊に繋がる恐れがあります。
クラミジア感染によるもの
クラミジアに感染していると子宮頸管炎を発症しますが、クラミジアによる感染の場合、自覚症状がほとんどなく、気が付かないうちに慢性化してしまう事があります。
子宮頸管炎が慢性化する事により、不妊症の原因になる恐れがあります。
妊娠中に子宮頸管炎になった場合の新生児への影響は?
妊娠中に子宮頸管炎を発症し、気付かずに放置していると、原因菌が子宮頸管を通り子宮にまで侵入してしまう場合があります。
子宮が感染してしまうと、お腹の赤ちゃんを守るための卵膜や羊水、赤ちゃんに栄養を送っているへその緒に炎症が起きてしまう場合があります。それにより切迫早産を招いたり、早産になる危険性もあります。さらに感染が酷くなると、胎児にまで影響が出る場合があります。
そのため、妊娠中に検査をしっかりと受け、赤ちゃんへの影響が少なくなるよう、早めの対処が大切になっています。おりものの異変や不正出血などが見られた場合は、すぐに医療機関を受診するようにしてください。
子宮頸管炎の治療法とは?
子宮頸管炎の検査方法
まず子宮頸管炎の検査をします。おりものを採取して、原因となっている細菌を特定します。血液検査を行う場合もあるようです。
子宮頸管炎の治療方法
検査で特定した原因菌に合わせて、抗生物質や抗真菌薬、抗ウイルス薬などが投与されます。場合によっては、膣の中に入れる【膣錠】が処方される事もあります。
他には、膣内洗浄や消毒が行われることもあります。治療期間は約2週間ほどかかるので、その際に膣を清潔に保つことが大切です。完治するまで、性行為は控えるようにしましょう。
最後に
子宮頸管炎が悪化すると、不妊症になったり出産しても胎児に影響が出たりしてしまう危険性があります。しかし、早めに気付き治療をすると、完治する事がほとんどです。
おりものが増えたり、においがする、膿っぽいや黄色っぽくなったなどの異変を感じた場合は、恥ずかしがらず医療機関を受診するようにしましょう。
また、治療は最後まで続ける事が大切です。症状が良くなってきたからと、自己判断せずに医師の指示に従いましょう。完治せずに治療をやめてしまうと再発したり、慢性化する恐れがあるので、気をつけましょう。